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旅行記 ストーリー01 旅行記>モロッコ>フェズ
地図>北アフリカ>モロッコ

既に、イスラムの国へ渡るのに充分なほどその気配を感じさせる空気を、たっぷりと含んだスペインの南端、アルヘシラス(Algeciras)からフェリーに乗りこむ。雲の切れ間からは何本かの強い日差しが漏れている。ジブラルタルの黒い海の向こうには、うっすらと霞んで見えるアフリカ大陸。船内にはスペイン人とは明らかに顔だちが異なるジェラバをまとった人たち、スピーカーから流れる頭が痛くなるほどのアラブ音楽・・・いやがおうにも気分は高揚し、緊張感が高まって手足の先がぴりぴりとしてくる。

数時間後、フェリーはアフリカの最北端、モロッコのタンジェ(Tanger)という港町に静かにいかりを下ろした。

 

タラップを降りて行くと、にわかに人が集まりだし、その独特の雰囲気に少し身がたじろいぐ。人の間を縫い、地図を確かめながら、ガイドブックを見て船内である程度決めておいたホテルの方角に向かって歩き出す。道の両側は、見たことがないほど恐ろしく汚く、でも形ばかりはフランス風のオープン・カフェに、昼間から大勢の人が(男しかいない)お茶を飲みながら何かを話し込んでいる。若者のカップルなどというものは見あたらない。店の前を通り過ぎる度に、彼らの痛いほどの視線に追われる。聞いてはいたが、途中ホテルの客引きが何人も話しかけてきて、うるさいこと極まりない。靴のつま先が破れ、締まらなくなったザックからはモノがはみ出しているような、痩せてひょろ長い白人のバックパッカーにも人がたかっている。エキゾチックなイスラムの国、などを夢見てはいなかったが、これからの旅が思いやられる。

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