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大谷石とは何か。宇都宮への旅

大谷石とは何か。
宇都宮への旅

大谷石 / 松が峰教会

大谷石の記憶

子供の頃、家の玄関ドアまわりの壁には、薄いクリーム色の、砂のような…土のような…触るとザラザラとした3cmほどの厚さがある石材が、地面から1mくらいの高さまで貼られていました。ところどころに濃い茶色の斑点があって、大きなもので5cmくらい、指で触るとその部分は特にもろく、ジャリジャリと指でこすっていると崩れて少し穴が空いてしまいました。その後、近所にできた家の塀にも、茶色の斑点がある同じクリーム色の石が使われていたことを覚えています。
これが、大谷石(おおやいし)との初めての出会いです。少し穴が空いた玄関の壁は、今でもそのままです。

大谷石の今

後の話で出てきますが、1960年代に入ると大谷石の出荷量が増え、特に関東を中心として大量に流通するようになったそうです。結果、まだ目新しく味わいがあり、少し高級感も演出してくれるこの石材が、一般の住宅にもよく使われるようになったと推測します。
近所の、やや古い家の塀や壁に大谷石を見かけませんか? やわらかくて加工しやすい反面、もろさもある石の性質上、半世紀あまりの年月を経て、角が欠けたり、凹みができたり、補修されたりしているかもしれませんが…

では、現在はどうかというと、大谷石で塀をつくる新築の家を個人的には見たことがありません。しかし、ここ数年、壁に限らず内装の化粧材として見かけることが何度かあり、時を経て新鮮な印象を受けました。
あるアパレルのショップでは、壁面や、床材、カウンターの腰などに大谷石が使われ、「インテリア」として店内の雰囲気作りに貢献していました。
ブームのように使われた時代から半世紀あまり、大谷石を使った家が老朽化で取り壊されていく一方で、昔とは一味違う使い方で再注目されているのかもしれません。

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