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特別企画/京の伝統野菜 Vol.1 京野菜の原点「九条ねぎ」
text by 竹田勝幸/39vegetable.com

京野菜の原点「九条ねぎ」

九条ねぎとは

奈良時代の初頭に、既に中国から難波に入り、淀川を遡り、今の東寺周辺、九条あたりで栽培が定着したという。都市化が進んだ今でも、細々と東寺周辺には、まだ、九条ねぎの畑が残っている事には驚かされる。

九条ねぎが出来るまで

葱坊主から採種、種蒔、収穫までざっと2年の年月がかかります!!

春に葱坊主から採種します。 秋に種を蒔きます。 翌年の夏に畑からねぎを抜き、1ヶ月ほど干されてから畑へ戻します。 その年の11月から、葱坊主から採種して2年後となる翌年3月までの期間に収穫します。

九条ねぎが出来るまで

九条細ネギ(夏ねぎ)

春のネギ坊主から種を採り秋に植え春から夏に収穫するのが夏のネギ。細く浅黄色がその特徴。薬味に使います。
冬が終わり、桜の季節を迎え散るころ九条ねぎの畑には、坊主頭が勢ぞろい。九条ねぎを始めネギは繁殖力も強く、スーパーで買ってきたネギの根をプランターに植えるとネギが成長しますが、畑ではネギ坊主が次の子孫を残すため頑張っています。
上鳥羽の農家では、代々自家採種でその血を守っています。また、ネギ坊主が出来る頃のネギは、物凄く堅くなります。その為、農家さんはその頃のネギを “ばち” と呼びます。

九条太ネギ(冬)

九条ねぎの醍醐味は、何といっても丸まる太った冬ネギです。
冬ネギは、種から発芽した根を3月頃に仮植えし、暑い夏の時期に一旦抜き、約1ヶ月程干されます。そして9月頃に畑に戻され、寒くなる11月終わり頃から 3月半ばまで収穫されます。干す理由は、発根がよくなり、分けつが進み太くなるからです。
また冬に旬を迎える九条ねぎは、寒さから身を守る為、体内に栄養をため込みます。あのどろっ!した餡が九条ネギの美味しさ!農家さんはその餡を “鼻たれ” と呼びます。
ネギの収穫日は決まっていません。収穫の万能選手。 但し、真夏のネギは太陽の光で白く焼け、美味しい事はありません。

冬が一番美味い!
九条ねぎ九条ねぎは栄養満点!
食べると賢くなる??と言われて食べた遠い記憶

〜九条ねぎの栄養〜

カルシウム、リン、鉄分、カロチン、ビタミンB1、B2、C、イオウなどを豊富に含みます。
ネギ臭さは アリシンと言う揮発性の成分。
アリシンは熱に弱く、熱を加えると効力はなくなりますが甘み旨味成分に代わるのが特徴です。

〜ネギの甘み〜

寒ければ寒いほど甘みが増す九条ねぎ。その理由は冬眠しながら白い部分にたっぷりの糖分を蓄えるからです。特に厳冬期を耐えたネギは味が良いだけでなく、タンパク質や薬効成分も、他のネギの3倍近くも含んでいます。

〜薬効成分〜

ネギには発刊作用や消化液の分泌を促進する働きがある為、“薬味”として古くから薬として使われて来ました。これは、硫化アリル、アリシン、イオウなどの成分の働きです。

*ねぎの粘液質
皮膚や粘膜の保護作用があり制菌作用と相まって火傷や止血などの薬としても使われて来ました。
*アリシン
血行を良くして身体を温め、肩こりや疲労回復に役立ち、神経を鎮め体調を整える効果が期待できます。
*イオウ
鎮静効果が期待でき、不眠に効果があるようです。

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