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巨木・巨樹シリーズ/File No.2 「志多備神社のスダジイ」

日本一のスダジイ

傾いている巨樹

総荒神の宿る木

もともと鳥居やしめ縄は、一定の領域や場所を制限して区切る結界の役割があり、それより中は浄化された神聖な領域であるということを表している、といったことを以前「なぜ茶室の戸は閉められなければならなかったのか」という記事の中で書いたことがあります。そういえば、鳥居をくぐって以来、既に俗世とは別の世界に入り込んでいるような雰囲気はあったのですが、スダジイに近づくにつれその気配は増していきました。
頭上は木の葉で覆われ、足元には踏み込むことが憚(はばか)れるほど青々とした苔が生え、木の葉がつくる緑の空間のところどころに赤い椿の花が咲き、そのいくつかは苔の緑に覆われた地面に落ちています。
そんな異空間の雰囲気に、写真をパチパチ撮り始めてはいましたが、何となく気が引ける思いがしました。

さすが日本一。スダジイの木は、表現に苦しむ、これまで見たことのない太さ。地上数メートルのところから枝分かれした、1本100年くらい経っていそうな大枝が四方八方へと伸びています。その姿からは、荒々しさというよりは、びくともしない圧倒的な存在感と重厚感、そして、何があってもこの木の傍にいれば大丈夫、という頼れる安心感のようなものが伝わってきます。「神」として祀りたくなる気持ちが分かります。実際、ここ八雲町桑並地区では、*総荒神(そうこうじん)の宿る木として大切に守り続けられてきたということです。

*総荒神:ここでは特定の地域や集落全体を守護する神の意との解釈が良さそうです。

背後にあった立て札には、こうありました。

村指定天然記念物

スダジイ(二本)

 このスダジイは、桑波地区を守る総荒神の宿る神木です。
 胸高周囲十一・四メートル、樹高約二十メートルで、樹幹は地上三メートル、樹高約二十メートルで、樹幹は地上三メートルあたりで九本に分かれ(一本は枯れている)四方に枝葉を広げています。
 枝張りは、東西約二十メートル、南北約三十三メートルで、樹齢は確かでなく推定数百年といわれている日本一のシイの巨木です。
 志多備神社参道傍にあるスダジイは、胸高周囲六メートル、樹高十八メートル、枝張りは東西約十七メートル、南北約十九メートルです。
 神社の周囲一帯は、スダジイの森になっており、学術上でも貴重な存在として残っています。

八雲村教育委員会

いつ立てられたものか分かりませんが、情報が現在と異なっている点がいくつかありますので、気づいた点を記載しておきます。

「村指定天然記念物」→「県指定・市指定の天然記念物」
「八雲村」→「八雲町」
「スダジイ(二本)」とありますが、その1本は鳥居をくぐってすぐ右手にあった樹形のきれいな木です。

数字についてはどうでしょう??

切られても傾いても力強く生きる巨木「賀恵淵の椎」
名 称 志多備神社のスダジイ
読み方 したびじんじゃのすだじい
樹 種 スダジイ
樹 齢 推定数百年
所在地 〒690-2103 島根県松江市八雲町西岩坂1589
指定等 県指定・市指定の天然記念物
撮影日 2025.4.21
樹 形 ★★★☆☆
樹 勢 ★★★★☆
異形度 ★★★★☆
周囲の環境 ★★★★★
星の数ついて

星の数(☆☆☆☆☆)は、撮影者の主観的な印象または感想で、学術的、数値的裏付けなど客観的データに基づくものではありません。
また、星の数が、その木の価値や魅力を表すものではありません。
「周囲の環境」については、木そのものだけでなく、それがどんな周囲の環境に置かれているかも大事な要素と考え、(管理者の諸事情も察しますが)管理状況や立地条件、景観などを勘案し、星の数として表しています。

  • ★樹形
    整った樹形であるか、一般的な観点からの評価
  • ★樹勢
    見た目の木の元気さ
  • ★異形度
    自然環境、気象、天災、人災などの影響、または木本来の性質による、幹、枝の変形度合
  • ★周囲の環境
    管理状況、立地条件、景観など、木の周囲がどのような状況であったか

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