| 自由研究室 |
巨木・巨樹シリーズ/File No.5 「岩屋の大杉」
福井県勝山市
5人の子を育てた?
信仰と伝説が生まれた「子持ち杉」
信仰と伝説が生まれたその姿とは
観音堂の脇を通り過ぎ・・・「おぉ!」
ボディビルダーが両腕を振り上げて、上腕二頭筋を見せつけポージングしているかのような枝ぶり。いや、もはや枝などというものではなく、見事な幹ぶりとでも言いましょうか。
上の方はよく見えませんが、主幹は既に上部を失っているようで、その根元あたりから伸びた幹と化した大枝は5本。そのうち一本は手が届く高さまで一旦垂れ下がるように伸び、途中から急角度に湾曲して頭上高く空へと向かっています。
あの太い幹のような大枝を5本も、よくもこんなふうに1本の木が支えているものだ、と驚嘆と感心が入り混じった感情が湧いてきます。
「子持ち杉」の5人の子たちは、数百年をかけて立派に逞しく育ったようです。
また、勝山市がエコミュージアムに関して発行した資料によると、「子安杉(子持ち杉とも呼ばれる)の信仰もあり、この杉の皮を煎じて飲めば乳の出がよくなるといわれている。」そうです。江戸時代あたりには、子供を安らかに産み育てる「子安」のご利益があるご神木として、信仰の対象にもなっていたようです。
そういえば、木の根元あたりに樹皮が削られたような跡がありました。
ところで、言い伝えによれば大枝は12本もあったそうですが…
他の大枝はどこへ?
「勝山の民話 第1集」など勝山市の郷土資料に「岩屋の大杉と白竜伝説」という話があるそうです。 要約すると、こんなお話です。
岩屋の大杉と白竜伝説
欲の深い男(資料によって「盗人」「木こり」など)が、「これほど立派な木なら、切り倒して売れば大儲けできる」と考え、6本を切り倒し、7本目に斧をかけようとしたその時、突然、あたりが真っ暗になり、激しい雷鳴とともに凄まじい嵐が巻き起こり、根元からまばゆい光を放つ巨大な白竜が姿を現し男を追い払った。
この伝説からは12本のうち6本が残ったわけですが、現在は5本。数の合わないもう一本は主幹を入れて6本ということでしょうか。切られてしまった6本は今のところ行方不明のようです。
今となっては12本あったという真偽のほどは分かりませんが、「12」という数字自体が、例えば「1年=12ヶ月」や十二支、その他仏教的にも重要な数であったりと、特別で神聖な意味を持つためとの推測もなされているようです。
いずれにしても、この強い生命力を感じさせる姿を見れば、伝説や信仰が生まれない方が不思議に思えます。5本の大枝が既に巨木化しているため「巨木を束ねる超樹」とでも呼べる?のかもしれません。
さて、5人の子供たちはどこまで育つのでしょう。
| 名 称 | 岩屋の大杉 |
| 読み方 | いわやのおおすぎ |
| 樹 種 | スギ |
| 樹 齢 | 約500年(伝承では1,200年とも) |
| 所在地 | 福井県勝山市北郷町岩屋 |
| 指定等 | 市指定文化財 天然記念物 |
| 撮影日 | 2025.5.26 |
| 樹 形 | ★★★☆☆ |
| 樹 勢 | ★★★☆☆ |
| 異形度 | ★★★★★ |
| 周囲の環境 | ★★★★★ |


