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巨木・巨樹シリーズ/File No.3 「兼六園の松」

さまざまな松

兼六園には、約8200本の樹木があり、そのうち松は主要なものだけで約200本あるそうです。多くはクロマツとアカマツとのことですが、その他にどんな種類があるか、Webでも調べましたが分かりませんでした。
「根上松」ばかりに気を取られ、もう少し立て札なりを注意して見てくればと悔いが残ります。
名前や樹種が正確に分からないものもありますが、気になった松を紹介します。

唐崎松

唐崎松(からさきのまつ)

名前など気にせずに、水面に伸びた枝ぶりが気になって写真を撮っていたため、後から見返すと何の松だったのか分かりませんでした。
調べてみると、「兼六園について」のページで紹介した、雪吊りで有名な「唐崎松」のようです。一般的な「唐崎松」らしい角度から撮影してなかったのと、「玩月松(がんげつのまつ)」のお隣だったため、特定に手間取りました。
雪吊りは、雪の重みによる枝折れを防ぐために縄を円錐状に張ったもので、兼六園の冬の風物詩となっています。
「玩月松」がアカマツなのに対し、「唐崎松」はクロマツで樹齢は約180年。幹の太さはありませんが、さすがの枝ぶりです。

巣ごもり松か?

へにゃっとしながらも野太い松

支柱がなければ倒れそうな、へにゃっとした特徴的な姿に惹かれました。でも幹の根本部分に意外に大きな膨らみがあって野太く、やや根上がり気味にもなっていることから、少なくとも150年前後の樹齢ではないかと推測します。
樹皮が亀の甲羅のように割れているクロマツに比べるとツルっとしていて、上の枝を拡大して写真をよくよく見ると赤味がかっているので、樹種はアカマツかと思います。
有名な松かも?と兼六園マップをはじめ色々と調べてみましたが、はっきりとは確認できませんでした。もしかすると「巣ごもり松」と呼ばれている松のうちの一本かもしれません。

ウツクシマツか?

立ち姿と枝ぶりが珍しい松

最も謎深い松。心当たりとしては新宿御苑で目にしたことがある、根元から幹が分かれて生えている、ちょうどブロッコリーのような形をした松があります。
多行松(たぎょうしょう)」という松で、クロマツを土台にアカマツを接木した園芸種とのことですが、樹高が3~4m程度と大きくならないそうで、優に10mは超えている写真の松とはスケール感がだいぶ違います。
ただ、オリジナルの写真を等倍で確認すると、根本付近に接木の跡のような、色が違う「段」が見えるのが気になります。苔かもしれませんが。

更に調べてみると、最も近い姿形は、滋賀県湖南市平松に自生地がある「ウツクシマツ」です。
湖南市のWebサイトによれば、「ウツクシマツ」はアカマツの天然変種で、「平松のウツクシマツ自生地」は国の天然記念物になっているそうです。

この松が、超巨大化した「多行松」なのか、希少な「ウツクシマツ」なのか推測の域を出ませんが、かなり珍しい松であることは間違いなさそうです。

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